団地と空と飛行機

<飛行機少年の日々>

旭ヶ丘団地上空は北から着陸態勢に入った飛行が通過し、西からは東京方面へ向かう出発機が通過します。伊丹空港に国際線があったころは出発機がひっきりなしに上空を通過していました。地上から飛行機を見上げていると、飛行機からはどんな景色が見えるのか気になってきました。

 団地上空を通過するYS-11

グラウンドで紙飛行機やゴム動力の飛行機を飛ばしてよく遊びました。しかし精々周り木より少し高く飛ぶ程度。給水塔の方が遥かに高いのです。はるか上空を飛ぶ飛行機はさすが凄いな〜とか思っていました。

 模型操縦飛行機

紙飛行機、ゴム動力機、電動機、と年齢と共に複雑な飛行機にチャレンジしていました。1年に一度ぐらい模型飛行機にハマル時期があり、最終的には小さいラジコン飛行機(電動で重量150g)を飛ばして遊んでいました。団地内に野球ができるぐらい大きなグラウンドがあったため、気が済むまで試行錯誤や調整をして好奇心を満たすことができました。

 

「実際の飛行機から団地を見たらどんなふうに見えるんだろう?」と思うようになりました。

 

<初めて飛行機に乗るも・・・>

しかし、子供が飛行機に乗る用事などあるわけも無く、叶わない夢となっていました。初めて飛行機に乗ったのは1995年の家族旅行。ついに空から団地を見られると期待したのですが、パック旅行のため通路側の席が割り当てられ外は見えず。

 

<2回目に期待するも・・・>

 1998年、兵庫但馬ー伊丹便(機材:SAAB340B)の右側席に乗る機会がありました。しかし、視界不良と日没が近かったこともあり、満足に団地を見ることはできませんでした。このときの体験から天候が良い日ほど、空港に近い団地上空を飛ぶ傾向があることが分かってきました。

千里インター付近

新千里東町団地、新千里南町が写っています。視界がよければ旭ヶ丘団地が小さく見えるはずでした。

 

着陸前。赤枠内が団地です。給水塔とスターハウスが確認できます。

 

<念願叶った日>

 1999年3月31日、ついにその日がやってきました。それまでの観察から、団地上空をもっとも低空で通過する便は日本エアコミューターの出雲ー伊丹便。機材は戦後初の国産旅客機YS-11。団地上空を通過するのは着陸寸前の午後3時頃であり、天気さえ良ければ団地が完璧に見えるはずです。

往路、伊丹空港ランウェイ32Rからの離陸

前日からの雨は早朝に止み、天気は回復傾向。帰りの天気も大丈夫そうです。出雲空港で降りて、そのまま伊丹へ引き返します。往復同じ機材でした。往復YS-11のフライトを堪能し、クライマックスは旭ヶ丘上空の飛行です。

 北摂山系を抜けると大阪平野に入ります。平野に入れば旭ヶ丘はすぐです。飛行コースは団地上空を通る理想のコースでした。団地上空を通過するのは数秒、無我夢中でシャッターを切りました。(フィルムカメラです)

YS-11の窓から撮影

写真をみると分譲団地、独身棟、フレッシュ旭ヶ丘、アルビス旭ヶ丘が写っています。写真上部をみると、府営桜塚住宅が写っています。8角形の給水塔跡が見て取れます。

 

ちょうど、給水塔上空を通過中です。団地のど真ん中を飛んでいきます。(本HPで掲載している写真と同じです)

 

写真左端の空き地はテラスハウスの立ち並んでいた敷地です。まだ1棟だけ残っています。(本HPで掲載している写真と同じです)

 

テラスハウスのあったエリア上空を通過。残っているテラスハウスの手前にある木々は、保存樹木の一時保管所です。

服部緑地上空で180度旋回し、最終着陸コースに入ります。

着陸寸前に見えた、旭ヶ丘団地。給水塔が目立ちます。給水塔の周囲には緑に囲まれたスターハウスが見えます。

 

こうして、長年の夢が叶い、団地上空をYS-11で飛ぶという夢のような一日が終わりました。いつしか、YS-11は日本の空から引退し、旭ヶ丘上空を低空で飛行する便もなくなりました。2003年、伊丹空港からYS-11の定期便消滅、気がつくとYSのエンジン音を聞くことはなくなりました。後継のボンバルディアQ400は機体の高速化により、小回りで着陸するよりもジェット機と同じく生駒山頂から着陸コースに乗ったほうが運行上好都合なのかもしれません。2014年現在、団地上空を小回りして着陸する定期便はありません。

 何故、YS-11は団地上空で小回りしたのか。これは推測でしかありませんが、ベテランのYSパイロットは給水塔を目印にしていたのかもしれません。給水塔がなくなった時期とYSが大阪から消えた時期が同時期なので、そんな想像ができなくもありません。

余談ですが、このとき搭乗したJA8776青森県の三沢航空科学館に展示されていることが分かりました。機会があれば再会してみたいものです。

 

<YS-11は引退したけれど、団地を上空から見てみたい>

中学生時代をピークに飛行機熱は冷めてしまいましたが、飛行機に乗るときは飛行コースによって団地が見えやすい側の席を予約しています。しかし、よほどの晴天でないと雲に隠れてしまい、団地撮影は難しいです。また、撮影を考えるときは前の席よりもエンジンや翼が邪魔にならない後部の席のほうが良いです。ただし、エンジンの排気により陽炎が写ってしまう欠点があります。

伊丹ー釧路便(2013/8)

今のところ会心の一枚。天気が良いと駐車場の車まで確認できます。YS-11で飛んだ頃とは団地の様子は一変しています。しかし、緑の多さは昔と変わりません。

 

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